2008年10月14日

伊坂幸太郎「オーデュボンの祈り」

オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)
オーデュボンの祈り (新潮ミステリー倶楽部)伊坂 幸太郎

新潮社 2000-12
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おすすめ平均 star
starシュールなままで
star不思議ミステリー
starカオス理論

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これも少し前に読んだのですが、
これは忘れようが無いほどに特異な設定を持つ話。

誰にも知られていない(忘れ去られた)島に
仙台で事件を起こした男が匿われ、
そこには「人の言葉を操るかかし」がいて・・・

特異な設定だが「人の言葉を操るかかし」のナゾを
曖昧に誤魔化さずにきちんと説明してあるところが、
この話を面白くしているんじゃないかと思う。

伊坂作品の背景には「仙台」を強く感じるけど
この作品も同じく。
何かのインタビューで、仙台に住んでいて、喫茶店のような所で
原稿を書くと話していたけど、その雰囲気をとても感じます。
それだけで仙台に行きたくなるから不思議。

これが伊坂幸太郎さんのデビュー作。
こんなもん、最初に書かれたらそりゃぁ度肝抜かれるなぁ。
伊坂作品の中で「陽気なギャング〜」と争うぐらい
好きな作品でした。
タッチはまるで違うのですが。
posted by 参 at 12:45| Comment(28) | TrackBack(2) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「フィッシュストーリー」

フィッシュストーリー
フィッシュストーリー伊坂 幸太郎

新潮社 2007-01-30
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starテンポ良く快調に読み進められる伊坂作品に潜むユニークさを知ろう!
star長かった…
star小説版・B面ベスト

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短編も伊坂さんならではの魅力があるのだけど、
やっぱり私は長編が好きだな〜。

と感じた短編集です。

もう図書館にある本はほとんど読んだらしく、
伊坂作品ばかり読み続けていたのでさすがに飽きたのも確か。
相変わらずテンポよく、なんともいえず魅力的なのですが
少々軽い感じがしてきました。

面白いんですよ。
面白いんだけど…読みすぎかな?
posted by 参 at 12:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「グラスホッパー」

グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)伊坂 幸太郎

角川書店 2007-06
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おすすめ平均 star
star人間は虫に近い
star始めて読んだ『伊坂』作品。
star不思議な感触

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読後少し時間がたってしまい、
感想を書けなくなってしまいました…。

覚えている読後すぐの実感は、
期待が大きかっただけに少しガッカリ、という感じ。

きっと面白かったところもあるはずなのですが
そういうところはすっぽり忘れてしまってます。
頼りにならないレビューでした。
posted by 参 at 12:36| Comment(6) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

奥田英朗「邪魔」

邪魔
邪魔奥田 英朗

講談社 2001-04
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おすすめ平均 star
star普通の主婦の豹変にびっくり
star人物描写が素晴らしい
starなによりも哀しい

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「最悪」のレビューにも書いたが、
登場人物の描写が素晴らしい。

登場人物である主婦がスーパーのパート仲間と交わす会話。


「独身のころは、絶対に『家庭画報』を読むような生活を送ろうと思ってたのに、
今は『すてきな奥さん』の回し読みだもん〜後略〜」

「〜略〜やることって『節約』と『収納』しかないんだもん」


に、思わず噴出してしまうほどだった。

この主婦の夫の性質を物語るエピソード(結婚式の二次会で〜)など
とにかく詳細な語りが人物を生きているかのように存在させる。
人を多面的にとらえる能力が、作品を面白くさせる。
どの作家にも必要な能力かもしれないが、この人は凄い。


ただ「邪魔」というタイトルはしっくりこないと感じた。
全体を通じて「邪魔」を感じさせるのは一部のような…。

加えて惜しむらくは…
図書館で借りたこの本は、一部分が取れて補修されており、
その補修部分が一番後ろにくっつけられており…
途中で後ろの方をめくって読んで、また元に戻って・・・という
面倒くさい作業をせねばならず、何となく読むリズムを
狂わされてしまったこと。

こういうのはリズムが大切だよなぁ…。
そのせいか、ちょっと終わり方がトントンと早すぎて残念だった。
いや、たぶん、あの補修方法が問題だよな…。
posted by 参 at 00:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 奥田英朗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

奥田英朗「最悪」

最悪 (講談社文庫)
最悪 (講談社文庫)奥田 英朗

講談社 2002-09
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おすすめ平均 star
star背筋が寒くなる。
starテンポがいい
star人それぞれの最悪の定義

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奥田英朗さんの人物描写の緻密さには感服する。
その人物の行動の一つ一つに矛盾がなく、
その人物が実在するかのようだ。

この作品はとにかく前置きが長い。
前置きというか…
登場人物がそれぞれに行動している部分が長く、
全員の紡ぐ線が重なる「事件」は全体の一瞬に等しい。

普通の作家の作品ならもう少し前に「事件」は起こるだろうし、
「事件」の部分はもっと長いだろう。
そうしないと、飽きてしまう。きっと。

でもこの作品はそうじゃない。
前置きとも思える登場人物の詳細な人物描写や背景描写がすごく、
全く退屈しない。
前回読んだ「邪魔」よりも、私はこちらが好きだった。
posted by 参 at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 奥田英朗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月01日

伊坂幸太郎「死神の精度」

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
死神の精度 (文春文庫 (い70-1))伊坂 幸太郎

文芸春秋 2008-02-08
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おすすめ平均 star
starクールで人情味溢れる?短編集
starかっこいいですね。
starうーん

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映画化もされたこの作品。
長編のストーリーだと思っていたので意外だった。

不慮の事故などで死をむかえようとする人々の、
その死が適切かどうかを判断する、いわゆる「死神」の物語。

終末のフール 」と似ていて、
「人生の終わり」を切り口に、死の間際のドラマを描いている。
といっても、「死神」は病死や自殺は取り扱わないので(この小説では)、
自分では数日後に死をむかえるなど考えもしていない人々が登場。

「死神」は仕事としてあっさりと「可」(=死)の報告をする。
そこに妙な葛藤や、優しさがないのがいい。
どんなに物語に感情移入しようとも、たいていの登場人物は最後に「可」と報告される。
「死神」が感情的に迷わないことで、物語がシンプルに感じられるし、
その世界観が現実味を帯びてくるような気がする。

そして人物達の交差が特にこの作品では好きだった。
感情的でない死神が、ほんの少し温かさを感じるようなシーンもあり、
それも好きだった。

それにしても、どの作品を読んでも面白い。

どんな風に映画化されたのか、少し興味のあるところ。
posted by 参 at 22:12| Comment(1) | TrackBack(3) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「終末のフール」

終末のフール
終末のフール伊坂 幸太郎

集英社 2006-03
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おすすめ平均 star
star終末騒動の混乱の物語
star心が温まりました。
star神の目線なのかしら?

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人生の期限を区切られると、誰にでもドラマが生まれる。
この本はまさしくその状態。

「終末」とは文字通り「終末」で、
小惑星が地球にぶつかるまでのカウントダウンを生きる人々
(さらにとある団地に住む人々)のドラマを描く数篇が収録されている。
そしてこの数編が1つの話となって主人公達が交差しあうのは
伊坂幸太郎のお得意分野。

この人物がどういう風に出てくるのだろう…と
最後はそういう目線で読むようになってくる。
そして毎度のコトながら、今回は特に切り口、着眼点が
作品の面白さを決めてるなぁと思う。

この本を読んだ後にも数冊読んだので読後すぐの感想ではないが、
時間がたって思うと、どの作品にも大きな「優しさ」のようなものが感じられた気がする。
「終わり」を突きつけられた人間のドラマなど、
結局全ては小さなことなのかもしれず、
全編を通じて登場人物たちを見守る大きな視線を読んで感じた。
posted by 参 at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)
陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)伊坂 幸太郎

祥伝社 2006-05
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おすすめ平均 star
starもどってきました!!
star後半の襲撃のほうがちょっと?
starこんな強盗団なら遭遇してみたい。

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やっぱりまた読みました。
伊坂幸太郎作品。
しかも、前回借りたのを返してすぐ読むという熱狂(?)ぶり。

前作「陽気なギャングが地球を回す」 の続編。
陽気なギャング、こと強盗団4人組が1人ずつ登場人物となる4つのショートストーリー。
そしてそれが集約されて1つの話になっていく、そんな作り。
こういう形が伊坂さんは得意なんだろうなと何作品か読んで気づきましたが、
それがまた見事。

伊坂さん自ら「前作に増してありえない」みたいなことを書かれてましたが、
本当に前作に増して「ありえな〜い」です。
でも、こちらも前作同様、気になることはなく、相当に楽しみました。 映画を見ているような感じ。

主人公たちが1人ずつ登場することによって、
他の人から見る彼らの姿が描かれていて、それがまた面白い。
人物を平面的でなく立体に描く力量を感じます。

まぁ、四の五の言わずに読め、って感じかな。
もうコレは相当にハマっています。

posted by 参 at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

絲山秋子「沖で待つ」

沖で待つ
沖で待つ絲山 秋子

文藝春秋 2006-02-23
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おすすめ平均 star
starこれって企業小説だったの?
star 清清しい!!!
starすぐ読めた

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初めに読んだ「イッツ・オンリー・トーク 」がとても気持ちのいい印象だったこともあり、
芥川賞受賞で話題になったときはとても読んでみたいと思っていたこの作品。
感想は…想像をはるかに越えて面白く、引き込まれ、感情移入し、じんわりと胸に沁み、
そしてやっぱりサバサバと男らしく(女性作家ですが)…読んでよかったと思う作品でした。

東京の大学を出て就職した会社で、最初の赴任地となった博多。
全く知らない土地に同じように赴任することになった同期の太っちゃん。

ここに描かれている会社の雰囲気というのが
本当に勤めたことのある人の、生身の雰囲気というか、
それが背景に濃く感じられます。
そして、「総合職で働く女性」という主人公が
意外に新鮮なことに気づかされます。

絲山さんの描く主人公はいつも、特別に○○だ、という特別感がなく、
だからといって、日常の全てを退屈に感じている気だるい女性でもない。
普通に働いている(=本当に普通に働いている)リアリティのある女性で、
「わざとらしさ」のようなものがなくて好感が持てるのです。

それは私自身が総合職で働く女性、だったからかもしれませんが、
「嘘がないな〜」と毎回感じます。今回は特に。

プラス、ストーリーがとても面白いです。
こういうの、ウマイって言うんやろうなぁ〜って。

実際に作者、絲山さんが以前営業職についていて、
福岡に赴任したことがあるというのは知っていましたが、
それはこの作品の受賞関連の記事で読んだのかもしれません。
太っちゃんの奥さんの実家が宗像だったり、鐘崎という地名が出てきたり、
天神コア、大博通りが出てきたり、ライバル企業の本拠地、という
設定からその企業はおそらくTOTOだろうなぁ〜なんて想像できたり、
福岡を知っているとより一層目の前に風景が浮かんできて、
だから好感が持てたというのもあるとは思うのですが。

「沖で待つ」タイトルもいいですね。

そんなわけで、男らしくサバサバとした絲山作品の読後感は、
今回も二重丸でございました。

posted by 参 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 絲山秋子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月22日

伊坂幸太郎「陽気なギャングが地球を回す」

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)伊坂 幸太郎

祥伝社 2006-02
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おすすめ平均 star
star理屈抜きに楽しめる
star陽気なギャング達のコメディ
star夜更かしはしたけれど

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ず〜っと読みたかった伊坂幸太郎作品。
やっと、やっと読みました!(かれこれ3年越し)。

人気作家だけあって面白いのはモチロンのこと、読みやすくてスイスイいきました。
この小説の場合、映画で言えば古くは「スティング」のような、
最近で言えば「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のような、
コミカルな雰囲気も、テンポの良さも、意外性も、何より読んでる気持ちよさも、

あ〜!好き!

と、読みながら何度思ったことか。
たぶん、図書館にあるのは全部読みそうです。

私はまわりくどい表現や、細かな形容がどうも苦手で、
ちょっと理屈っぽくなってくると読み飛ばす癖があるのですが、
この主人公の一人、語りたがる演説の名人、響野のセリフでさえ軽快に感じて
久々に隅から隅まで一字一句読みました。
(いや、毎回飛ばすわけではないのですが)。

登場人物たちは銀行強盗です。
(ここらへんもスティングなどを思い起こさせます)。
だからといって銀行強盗についてばかり事細かに追っているわけでなく、
そういう点ではリアリティにも欠けるかもしれません。


しかし、思いませんでした。

ほんとにこんなんで成功するわけ?

とは。
それは成功しない要素が詰まっているからではなく、
もし本当に実行したら成功しないだろうと思うのだけど、
でもそんなことはどうでもよくなってしまうエンターテインメント性にあるのだと思います。
でも軽すぎない…なんというか、バランスがよくて楽しい。

映画化では成瀬=大沢たかお、だけがイメージに合いませんが(私のね)
ちょっと興味がわきました。

う〜ん、面白かった。

posted by 参 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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