2006年12月15日

重松清「送り火」

送り火
送り火重松 清

文藝春秋 2003-11-10
売り上げランキング : 192311

おすすめ平均 star
starあざといな、と思いつつ、著者の術中にはまる・・・
starうんうん、、、
starリアルだなぁ

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数編による短編集。

タイトルを見て気づかなかった私もナンだが、
テーマは「死」。
ちょっとオドロオドロしい部分もあり、だけど恐怖で身が縮むというわけでもない。
日常の一こまに「死ということ」を加えてみたら、こんな感じになりましたという感じの、
現実的なのに空想的で・・・そんな風に感じるのは人間、誰もが死ぬからなのかもしれないなと、ふと思いました。
人生の最終地点にある「死」は、日常生活の一こまであってもおかしくないわけなのだから。

偉そうな言い方をするようだけど、この本を読んでただただ「感心」した。
見事にどの物語も全く設定が違い、展開が違うのに、その感情はリアリティにあふれている。

普通の日々というのは題材としてはありふれているが、
実は書くのは一番難しいのではないだろうか。
男性の作家は、主婦にはなりえない。
主婦の物語を体験ナシに書くことになる。
え?本当に?体験したんじゃないの?と思いたくなる、こういう人こそ「作家」なんだな、とシミジミ。

語彙の少なさに悲しくなるが、一言「面白い」。
面白すぎて、読み終わるまであっという間だった。

人間、いろんな人生を生きていて、未来を想像しながら今を生きるけれど、
ふと、終着駅を考えてみた時・・・。
今を生きることを、また考え直してしまうのだなと思った。
posted by 参 at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 重松清 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小池真理子「恋」

恋小池 真理子

新潮社 2002-12
売り上げランキング : 36355

おすすめ平均 star
star何度読んでも涙が出てくる、いい本だ。
star小池真理子の、ひとつの原点かも・・
star恋とは畢竟、不条理なものである

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夜中かじりついてこの本を読んだ。
あっという間に読み終えた。とにかく面白かった。

「性的倒錯」と言われてもおかしくない、一般的には理解しがたい生活を送る大学教授夫妻。
アルバイトとして彼らに雇われた主人公はその常識はずれな生活に戸惑い、
反発しながらも、惹かれてしかたがなくなってしまう。
やがて、一つの「恋」が巻き起こす事件とその結末は…。

帯によると、小池真理子は「官能サスペンス作家」らしい。
その辺はどうなのか、これを読んだ限りそう断定的には思わなかったけれど
確かにねぇ、筆致が色っぽくて上品なのよね。
文章が色っぽいって、すごいよね。

そんなわけで文章にすっかり惚れてしまったせいか、
主人公も皆、魅力的で…主人公の惚れるわけがよく分かると思うほどに
ハマっていってしまいました。
要するに、伝えたい魅力がそれ以上に読者に伝わってきてるってことでしょう。

何よりも好ましく思ったのは「救いがある」ところ。
夫妻の抱える秘密も、起こした事件の顛末も、
どうしようもなく「救いがない」のに、読後に幸せな気持ちすら覚えるのは
主人公の「恋」が見捨てられず、しっかりと結びついたままだということが分かるからなのだろう。

ルポライターが取材→主人公が告白→ルポライターがその後を追う、
という展開も、ワンクッション置くことで生々しくなく感じたのかもしれません。

もっと他の小説が読みたくなる、そんな作品でした。
posted by 参 at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小池真理子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月14日

桐野夏生「柔らかな頬」

柔らかな頬
柔らかな頬桐野 夏生

講談社 1999-04
売り上げランキング : 235816

おすすめ平均 star
starこれこそ真理。
star束縛と解放の無限運動
starドラマもすばらしかった!

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この本を読んでしばらく、このブログを書けなくなってしまった。
その理由は、たぶん、あまりにリアルに迫る心理描写と、
私のすぐそばに「柔らかな頬」を持つ子供がいて、それを失うという
ものすごい喪失感を、擬似的に体験してしまったからじゃないかと思う。

そんなわけで、もうずいぶん前にこの本を読んだわけなので、
細かな部分はだいぶ薄れてきてしまっておりますが…。

「母として、妻として、女性として」

女性なら誰もが迷いながら心に持っているこのテーマ。
葛藤しながらも、それでも心の中で折り合いをつけて日々をやっていけるのは、
「子供」という唯一無二の存在があるからだ、と私は思う。
だが唯一無二で絶対的存在であるがために、
「女でありたい」と願った瞬間の主人公にとっては「足枷」にもなり得る。
夢中になりすぎた結果、「足枷」と感じてしまう。
そして子供を失った時、一番に苦しめられるのは
「足枷」だと感じていた自分の対する猛烈な後悔の念。


とにかく次のページをめくらずにはいられない、
ジェットコースター小説だが、後味が悪いのは確か。
子供を持つ親にはあまり気持ちの良い小説ではない。
私のように妙な喪失感を抱えてしまうかもしれない。
一言で言えば、リアルはあるけど救いがないのだ。

後半、元刑事の出てくる展開は、
これから新たな人物の人生を加える必要があるのか?
とちょっと意外に思った。
答えを出したような出さないようなラスト、
それで納得するには、あまりに盛り上げすぎた感じもしないではない。
posted by 参 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 桐野夏生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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