2008年08月01日

伊坂幸太郎「死神の精度」

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
死神の精度 (文春文庫 (い70-1))伊坂 幸太郎

文芸春秋 2008-02-08
売り上げランキング : 259

おすすめ平均 star
starクールで人情味溢れる?短編集
starかっこいいですね。
starうーん

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


映画化もされたこの作品。
長編のストーリーだと思っていたので意外だった。

不慮の事故などで死をむかえようとする人々の、
その死が適切かどうかを判断する、いわゆる「死神」の物語。

終末のフール 」と似ていて、
「人生の終わり」を切り口に、死の間際のドラマを描いている。
といっても、「死神」は病死や自殺は取り扱わないので(この小説では)、
自分では数日後に死をむかえるなど考えもしていない人々が登場。

「死神」は仕事としてあっさりと「可」(=死)の報告をする。
そこに妙な葛藤や、優しさがないのがいい。
どんなに物語に感情移入しようとも、たいていの登場人物は最後に「可」と報告される。
「死神」が感情的に迷わないことで、物語がシンプルに感じられるし、
その世界観が現実味を帯びてくるような気がする。

そして人物達の交差が特にこの作品では好きだった。
感情的でない死神が、ほんの少し温かさを感じるようなシーンもあり、
それも好きだった。

それにしても、どの作品を読んでも面白い。

どんな風に映画化されたのか、少し興味のあるところ。
posted by 参 at 22:12| Comment(1) | TrackBack(3) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「終末のフール」

終末のフール
終末のフール伊坂 幸太郎

集英社 2006-03
売り上げランキング : 7433

おすすめ平均 star
star終末騒動の混乱の物語
star心が温まりました。
star神の目線なのかしら?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

人生の期限を区切られると、誰にでもドラマが生まれる。
この本はまさしくその状態。

「終末」とは文字通り「終末」で、
小惑星が地球にぶつかるまでのカウントダウンを生きる人々
(さらにとある団地に住む人々)のドラマを描く数篇が収録されている。
そしてこの数編が1つの話となって主人公達が交差しあうのは
伊坂幸太郎のお得意分野。

この人物がどういう風に出てくるのだろう…と
最後はそういう目線で読むようになってくる。
そして毎度のコトながら、今回は特に切り口、着眼点が
作品の面白さを決めてるなぁと思う。

この本を読んだ後にも数冊読んだので読後すぐの感想ではないが、
時間がたって思うと、どの作品にも大きな「優しさ」のようなものが感じられた気がする。
「終わり」を突きつけられた人間のドラマなど、
結局全ては小さなことなのかもしれず、
全編を通じて登場人物たちを見守る大きな視線を読んで感じた。
posted by 参 at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

伊坂幸太郎「陽気なギャングの日常と襲撃」

陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)
陽気なギャングの日常と襲撃 (ノン・ノベル)伊坂 幸太郎

祥伝社 2006-05
売り上げランキング : 1597

おすすめ平均 star
starもどってきました!!
star後半の襲撃のほうがちょっと?
starこんな強盗団なら遭遇してみたい。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


やっぱりまた読みました。
伊坂幸太郎作品。
しかも、前回借りたのを返してすぐ読むという熱狂(?)ぶり。

前作「陽気なギャングが地球を回す」 の続編。
陽気なギャング、こと強盗団4人組が1人ずつ登場人物となる4つのショートストーリー。
そしてそれが集約されて1つの話になっていく、そんな作り。
こういう形が伊坂さんは得意なんだろうなと何作品か読んで気づきましたが、
それがまた見事。

伊坂さん自ら「前作に増してありえない」みたいなことを書かれてましたが、
本当に前作に増して「ありえな〜い」です。
でも、こちらも前作同様、気になることはなく、相当に楽しみました。 映画を見ているような感じ。

主人公たちが1人ずつ登場することによって、
他の人から見る彼らの姿が描かれていて、それがまた面白い。
人物を平面的でなく立体に描く力量を感じます。

まぁ、四の五の言わずに読め、って感じかな。
もうコレは相当にハマっています。

posted by 参 at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

絲山秋子「沖で待つ」

沖で待つ
沖で待つ絲山 秋子

文藝春秋 2006-02-23
売り上げランキング : 6483

おすすめ平均 star
starこれって企業小説だったの?
star 清清しい!!!
starすぐ読めた

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


初めに読んだ「イッツ・オンリー・トーク 」がとても気持ちのいい印象だったこともあり、
芥川賞受賞で話題になったときはとても読んでみたいと思っていたこの作品。
感想は…想像をはるかに越えて面白く、引き込まれ、感情移入し、じんわりと胸に沁み、
そしてやっぱりサバサバと男らしく(女性作家ですが)…読んでよかったと思う作品でした。

東京の大学を出て就職した会社で、最初の赴任地となった博多。
全く知らない土地に同じように赴任することになった同期の太っちゃん。

ここに描かれている会社の雰囲気というのが
本当に勤めたことのある人の、生身の雰囲気というか、
それが背景に濃く感じられます。
そして、「総合職で働く女性」という主人公が
意外に新鮮なことに気づかされます。

絲山さんの描く主人公はいつも、特別に○○だ、という特別感がなく、
だからといって、日常の全てを退屈に感じている気だるい女性でもない。
普通に働いている(=本当に普通に働いている)リアリティのある女性で、
「わざとらしさ」のようなものがなくて好感が持てるのです。

それは私自身が総合職で働く女性、だったからかもしれませんが、
「嘘がないな〜」と毎回感じます。今回は特に。

プラス、ストーリーがとても面白いです。
こういうの、ウマイって言うんやろうなぁ〜って。

実際に作者、絲山さんが以前営業職についていて、
福岡に赴任したことがあるというのは知っていましたが、
それはこの作品の受賞関連の記事で読んだのかもしれません。
太っちゃんの奥さんの実家が宗像だったり、鐘崎という地名が出てきたり、
天神コア、大博通りが出てきたり、ライバル企業の本拠地、という
設定からその企業はおそらくTOTOだろうなぁ〜なんて想像できたり、
福岡を知っているとより一層目の前に風景が浮かんできて、
だから好感が持てたというのもあるとは思うのですが。

「沖で待つ」タイトルもいいですね。

そんなわけで、男らしくサバサバとした絲山作品の読後感は、
今回も二重丸でございました。

posted by 参 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 絲山秋子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。