2008年08月01日

絲山秋子「沖で待つ」

沖で待つ
沖で待つ絲山 秋子

文藝春秋 2006-02-23
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初めに読んだ「イッツ・オンリー・トーク 」がとても気持ちのいい印象だったこともあり、
芥川賞受賞で話題になったときはとても読んでみたいと思っていたこの作品。
感想は…想像をはるかに越えて面白く、引き込まれ、感情移入し、じんわりと胸に沁み、
そしてやっぱりサバサバと男らしく(女性作家ですが)…読んでよかったと思う作品でした。

東京の大学を出て就職した会社で、最初の赴任地となった博多。
全く知らない土地に同じように赴任することになった同期の太っちゃん。

ここに描かれている会社の雰囲気というのが
本当に勤めたことのある人の、生身の雰囲気というか、
それが背景に濃く感じられます。
そして、「総合職で働く女性」という主人公が
意外に新鮮なことに気づかされます。

絲山さんの描く主人公はいつも、特別に○○だ、という特別感がなく、
だからといって、日常の全てを退屈に感じている気だるい女性でもない。
普通に働いている(=本当に普通に働いている)リアリティのある女性で、
「わざとらしさ」のようなものがなくて好感が持てるのです。

それは私自身が総合職で働く女性、だったからかもしれませんが、
「嘘がないな〜」と毎回感じます。今回は特に。

プラス、ストーリーがとても面白いです。
こういうの、ウマイって言うんやろうなぁ〜って。

実際に作者、絲山さんが以前営業職についていて、
福岡に赴任したことがあるというのは知っていましたが、
それはこの作品の受賞関連の記事で読んだのかもしれません。
太っちゃんの奥さんの実家が宗像だったり、鐘崎という地名が出てきたり、
天神コア、大博通りが出てきたり、ライバル企業の本拠地、という
設定からその企業はおそらくTOTOだろうなぁ〜なんて想像できたり、
福岡を知っているとより一層目の前に風景が浮かんできて、
だから好感が持てたというのもあるとは思うのですが。

「沖で待つ」タイトルもいいですね。

そんなわけで、男らしくサバサバとした絲山作品の読後感は、
今回も二重丸でございました。

posted by 参 at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 絲山秋子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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