2006年02月15日

猪瀬直樹「ピカレスク 太宰治伝」

409394234X猪瀬 直樹

小学館 2002-03-01
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おすすめ平均star
star文学の悪徳 作家という偶像
star作家になりたかった
star太宰と井伏―二つのスキャンダル

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太宰治というと「走れメロス」。昔からなぜか大好きな一冊だ。
たぶんそれは、一言一句から受ける力強い印象。
だが、太宰自身の印象はと言うと…陰気。

だってあの顔写真。どー見ても暗い。
東北出身。だからといって暗いわけではないが、私には、太宰の顔写真の後ろに、しんしんと雪が降り積もって見える…。
加えて自殺未遂、心中未遂の繰り返し…。
人間失格」「斜陽」などのタイトル…。
深い文学的悩みを抱えた文学青年「太宰治」。

が、この本では違う意味で拍子抜けさせられる。

太宰の自殺未遂、心中未遂は計画的だったというのだ。
しかもその理由は、坊ちゃん育ちゆえの甘えとしか言わざるを得ない。
「はぁ???」
である。
もちろん、太宰自身がそう語っているわけではないのだから、絶対に事実であるとは言い切れないが、説得力がある。

作家「猪瀬直樹」とはどういう人なのだろうという興味を持ってこの本を借りたのだが、(この人のこと、道路公団以外の問題で知らない…石原慎太郎の本を借りたのと同じ理由である)、緻密な取材と参考文献に基づいた「論文」に近いもので、理路整然とした組み立て方は、なるほど「道路公団問題」でのイメージを裏切らない。

作家の伝記は、本好きにはたまらない。
文壇の巨匠達の裏側を知る事ができる。
あがめたてまつられている文豪達が、結構普通の人であることを知れば、国語好きな学生が増えるに違いない。
太宰本人はもちろん、この本では井伏鱒二がかなりのページを割かれている。
この本を読めば太宰と井伏のことは忘れないだろう。
あまりいい印象ではないかもしれないけれど。

人間的に魅力的だとは一切書いていない。
ピカレスク=悪漢。
伝記というものは、書いているうちに段々その人物に好意的になるものか、たいてい優しく書かれているものだけど、猪瀬氏はあくまでも客観的だ。
読んでも読んでも終わらない分厚さなのに、どんどん読みたくなる。

未だ生存している多くの関係者に取材している。
最後の参考文献の多さには感服した。



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posted by 参 at 12:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 猪瀬直樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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