2006年12月14日

桐野夏生「柔らかな頬」

柔らかな頬
柔らかな頬桐野 夏生

講談社 1999-04
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この本を読んでしばらく、このブログを書けなくなってしまった。
その理由は、たぶん、あまりにリアルに迫る心理描写と、
私のすぐそばに「柔らかな頬」を持つ子供がいて、それを失うという
ものすごい喪失感を、擬似的に体験してしまったからじゃないかと思う。

そんなわけで、もうずいぶん前にこの本を読んだわけなので、
細かな部分はだいぶ薄れてきてしまっておりますが…。

「母として、妻として、女性として」

女性なら誰もが迷いながら心に持っているこのテーマ。
葛藤しながらも、それでも心の中で折り合いをつけて日々をやっていけるのは、
「子供」という唯一無二の存在があるからだ、と私は思う。
だが唯一無二で絶対的存在であるがために、
「女でありたい」と願った瞬間の主人公にとっては「足枷」にもなり得る。
夢中になりすぎた結果、「足枷」と感じてしまう。
そして子供を失った時、一番に苦しめられるのは
「足枷」だと感じていた自分の対する猛烈な後悔の念。


とにかく次のページをめくらずにはいられない、
ジェットコースター小説だが、後味が悪いのは確か。
子供を持つ親にはあまり気持ちの良い小説ではない。
私のように妙な喪失感を抱えてしまうかもしれない。
一言で言えば、リアルはあるけど救いがないのだ。

後半、元刑事の出てくる展開は、
これから新たな人物の人生を加える必要があるのか?
とちょっと意外に思った。
答えを出したような出さないようなラスト、
それで納得するには、あまりに盛り上げすぎた感じもしないではない。
posted by 参 at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 桐野夏生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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