2005年11月09日

芦原すなお「新・夢十夜」

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「こんな夢を見た」

で始まるのかと思ったら、そうではない。

この一文で始まるのは、夏目漱石の「夢十夜」である。
大学の国文学の授業で課題として読んだのだが、なんともいえない不思議でおどろおどろしい、怖いけれど気になって仕方ない小説だった。
そしてその中で一箇所、これまで読書中には感じたことがない「ドキっ」を体験したことが強く心に残っていた。

大学1年生の時。
寮の部屋のベッドでデスクライトをつけただけの暗い部屋でとりつかれたように「夢十夜」を読み進めていた私。
それで、それで、それでどうなる??
とページをめくったそこに書かれていた一文に背筋が凍った。

「御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね」

こわ〜い(「スピードワゴン」風に)。

漱石がページをめくったと同時にこの一文が見えるようにこだわって配したかどうかは定かではないが、私はそうだと確信している。
小説で、文章に、視的に、怖がらせられたのは、今までにこれしかない。

で、「新・夢十夜」。

これも「夢十夜」同・に怖くて不思議で気になる話。
先へ、先へ、指がページをめくるのを止められない。
雰囲気の似た話が多いのは、「ちょっと怖がらせる」ためか?
思いっきり違うあっけらかんとした話も読みたかった気がした。
そこに「新」の「新」たる所以を見せてもらいたかった気もした。

だけど。
私が先ほど熱く語った「視的な一文」が、この「新・夢十夜」の方にもちゃーんとあった。
これが非常に嬉しかった。

芦原すなお氏も、この効果をきちんと考えていたに違いない。
私はまたもや勝手に確信している。。

4003101197夢十夜 他二篇
夏目 漱石

by G-Tools


夢十夜」(by青空文庫)でも読むことができますが、あの「ドキっ」は残念ながらページをめくらないと感じられないと思います。

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その他のレビューはこちらにも。


posted by 参 at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 芦原すなお | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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